応援に来てくれた人に、紙の申請書を書かせたくなかった――交通費申請をGoogleフォーム×GAS×Geminiで楽にした話

会社の申請書の処理は、私の担当業務の一つです。その中に、交通費申請があります。

交通費といっても、毎日の通勤交通費ではありません。主に、応援要請を受けて、自分の勤務地ではない他の店舗へ行ってくれたときに発生する交通費です。

会社のために、いつもと違う店舗へ行ってくれる。本来なら、まずは「行ってくれてありがとう」と言いたいところです。

ところが実際には、その人にもう一つ面倒な作業が発生します。交通費の申請書を、自分で紙に手書きしなければならないのです。

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紙の申請書は、思っている以上に面倒くさい

うちの会社は、まだまだ紙文化です。申請書を書くとなると、まず申請書の紙を取るところから始まります。

そこに日付を書く。名前を書く。どこの店舗へ行ったのかを書く。時間を書く。必要な内容を一つずつ埋めていく。

書いてしまえば、数分のことかもしれません。でも、実際にやる側からすると、これがけっこう面倒です。

特に応援に行った人は、会社の都合で普段と違う勤務地へ行ってくれています。そのうえで、さらに紙の申請書を書いてもらう。

もちろん、交通費をきちんと精算するためには申請は必要です。でも、「もう少し簡単にできないかな」とはずっと思っていました。

紙を探して、ペンを持って、細かい項目を書き込むのではなく、スマホから必要な項目を選んで送信するだけ。そういう形にしたかったのです。

まずは2人に試してもらった

いきなり全員に使ってもらうのは、少し不安もありました。便利にしたつもりでも、実際に使う人が「分かりにくい」と感じたら意味がありません。

そこで最初は、私の頭の中で2人を思い浮かべました。スマホをそこそこ使える人。パソコンもそこそこ使える人。この2人なら、最初に試してもらう相手としてちょうどいいと思いました。

そして実験的に、スマホから申請できる形(Googleフォーム)を使ってもらいました。すると、「簡単」「これがいい」と言ってもらえました。この反応は、かなり嬉しかったです。

そこで、しばらく様子を見ながら継続して使ってもらうことにしました。すると今度は、その人たちが申請している様子を見た別の人から、「私にも使わせて」という声が出てきました。

実際に使ってもらうと、「全然こっちの方がいいじゃん」という反応でした。

この流れを見て、これは正式にみんなに使ってもらってもよさそうだと思いました。大きな仕組みを作ったわけではありません。でも、現場の人が少しでも楽になった。それだけで、やってよかったと思えました。

申請する人だけでなく、処理する側にも手間が残っていた

Googleフォームにしたことで、申請する人の負担はかなり減りました。スマホからでも入力できるので、紙の申請書よりはずっと楽です。

ただ、実際に運用してみると、今度はこちら側の処理にはまだ手間が残っていました。

申請が入るとメール通知が届く。フォームを開く。必要な内容を確認する。印刷する。処理が終わったら削除する。

一つ一つは小さな作業です。でも、こういう小さな作業ほど、毎回やっていると地味に時間を取られます。

そこで、業務用の受信用メールアドレスに転送して、届いた申請をメール側で整理・削除できる形にできないかと考えました。

最初からうまくいったわけではない

最近、私はAIを仕事に使うことを少しずつ試しています。Claude、Gemini、Cursor、Obsidian、NotebookLMなど、いろいろ触っています。

ただ、新しいツールを試したいだけではありません。実際の仕事の中で、「これ、毎回やる必要あるのかな」「もう少し楽にできないかな」と思う作業を、AIを使って少しずつ改善できないか試しています。

少し前には、朝の勤怠処理やメールのPDF印刷を自動化できないかと思い、Claudeに相談しながらPower Automateを試したこともありました。ところが、勤怠システムのアプリ操作がうまくいかず、そのときは諦めました。

そこで思ったのが、「まずはGoogleまわりで動くものからやってみよう」ということです。

Googleフォーム、Gmail、Google Apps Script。このあたりなら、業務で使っているものともつながりやすい。いきなり大きな自動化を狙うより、まずは小さく動くものを作った方がいいと思いました。

GeminiにGASの書き方を聞いた

とはいえ、私はプログラマーではありません。GAS(Google Apps Script)を書ける人間ではありません。

そこでGeminiに、「こういう運用にしたい。GASではどう書けばいいか」と聞きました。

Googleの手順を調べるだけでは、どうしても分からないところがあります。説明を読んでも、自分の業務に当てはめると、どこをどう変えればいいのかが分からない。その点、AIに聞くと、自分のやりたいことに合わせてコードを出してくれます。

もちろん、一発で完璧に動いたわけではありません。エラーも出ました。

そのたびに、エラー画面のスクリーンショットを取り、Geminiに見せて、「このエラーは何が原因ですか」「どこを直せばいいですか」と聞きながら進めました。

提示されたコードをそのまま貼るだけではなく、動かなかったら聞き直す。表示されたエラーを見せる。もう一度修正案をもらう。また試す。その繰り返しです。

今までは、こういうところで止まっていました。「エラーが出た」「意味が分からない」「やっぱり自分には無理だ」で終わっていたと思います。

でも今は、AIにエラーを見せながら進めることができます。これはかなり大きな違いです。

うまく動いたときに思ったこと

試行錯誤の結果、交通費申請のメール運用はうまく動くようになりました。

正直、ものすごく大きなシステムを作ったわけではありません。会社全体を変えるようなDXでもありません。でも、申請する人の手間が減りました。処理する側の手間も減りました。

そして何より、「自分でも、AIに聞きながら業務改善を形にできる」という感覚を持てたことが大きかったです。

業務改善というと、立派なシステムを導入したり、専門業者に依頼したり、大きな予算を組んだりするイメージがあります。でも実際には、現場で困っていることはもっと小さいです。

紙の申請書を書くのが面倒。申請書を取りに行くのが面倒。日付や名前や時間を手書きするのが面倒。毎回メールを開くのが面倒。印刷までの流れが少し遠い。削除や整理に手間がかかる。

そういう小さな違和感を、一つずつ楽にしていく。そのためにAIを使う。この方が、自分には合っている気がしました。

AIは「すごいこと」より「面倒なこと」に使う

AIというと、どうしても派手な使い方に目が行きます。文章を一瞬で作る。画像を生成する。アプリを作る。プレゼン資料を作る。もちろん、それも便利です。

でも、実務で一番ありがたいのは、「ちょっと面倒くさい」を減らしてくれることだと思います。今回の交通費申請も、まさにそれでした。

誰かにとっては小さな改善かもしれません。でも、応援に行ってくれる人にとっては、紙に書く手間が減るだけでかなり助かります。処理する側にとっても、毎回の小さな負担が減るだけでかなり助かります。

そして、こういう改善は一つできると、次も考えられるようになります。

申請書の処理。メールの整理。会議録のまとめ。チェックリストの運用。SNSの結果検証。社内文書の作成。

今まで「手作業だから仕方ない」と思っていたものを、少しずつ見直せるようになります。

プログラマーでなくても、実務の言葉でAIに相談できる

今回やってみて感じたのは、プログラムの知識よりも、「何に困っているのか」「どういう流れにしたいのか」を言葉にすることの方が大事だということです。

私はGASを完璧に理解しているわけではありません。でも、業務の流れは分かっています。

誰が面倒を感じているのか。どこで手間がかかっているのか。どこを変えれば楽になるのか。誰が使うのか。どんな形なら続けられるのか。これは、現場にいる人間だから分かることです。

AIはコードを書いてくれます。でも、何を作るべきかを決めるのは、やはり現場の人間です。そこに、これからの可能性があると思っています。

これからも小さな業務改善を積み上げたい

今回の交通費申請の改善は、私にとって一つの実績になりました。大きな成果として人に自慢するようなものではないかもしれません。

でも、「実際の仕事の中で困っていたことを、AIを使って少し楽にした」という意味では、確かな一歩です。

私はこれから、こういう小さな改善をもっと増やしていきたいと思っています。いきなり会社全体を変えることはできません。上の人が動かなければ進まないこともあります。

でも、自分の手が届く範囲で、「ここは少し楽にできる」「この作業はAIに相談できる」「この流れはGoogleフォームやGASで変えられる」という場所は、まだまだあるはずです。

AIは、特別な人だけが使うものではなくなってきました。現場を知っている人が、自分の言葉で困りごとを説明し、AIと一緒に解決していく。その積み重ねが、これからの自分の仕事にも、定年後の活動にもつながっていくのではないかと思っています。

まずは、交通費申請を少し楽にできた。次は、別の面倒な作業を一つ楽にする。そんな形で、AIを「勉強するもの」から「仕事を少し変える道具」にしていきたいです。

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